2013年に日本糖尿病学会と日本癌学会が合同委員会をつくり、
糖尿病とガンに関する因果関係について報告しました。
その結果、糖尿病患者の中で様々なガンがふえていることが明らかになりました。
そこで、ここでは、糖尿病と癌の関係をまとめました。
糖尿病 とは
糖尿病とは一口で言うと、インスリンホルモンの働きが悪くなり、血液中のブドウ糖の値=血糖値が異常に高くなってしまう病気のことです。
健常者の場合、血糖値は空腹時でおよそ100mg/dl未満、食後は140mg/dl未満に保たれています。
これが空腹時126以上、または食後200以上になると糖尿病と診断されます。
何らかの原因でインスリンがまったく分泌されなくなる1型糖尿病と、生活習慣をきっかけに発症する2型糖尿病、そして遺伝子異常に伴うもの、大きくはこの3つに分けられます。
いずれにせよ、糖尿病になるとすい臓の細胞が破壊されてしまい、インスリンが足りなくなる、もしくは完全に枯渇してしまいます。
糖尿病で怖いのは3大合併症と動脈硬化
糖尿病で本当に恐ろしいのは、糖尿病そのものよりも、糖尿病が発端で発症してしまう合併症です。
糖尿病には三大合併症といわれるものがあります。細小血管が傷むことによって起こる、腎臓、目、そして神経の障害です。
腎症から人工透析へ、網膜症から失明へ、神経障害から起立性低血圧や尿失禁へと進んでしまうというのが、糖尿病の悪いシナリオです。
そしてこの三大合併症と並んでリスクの高い病気が、動脈硬化症です。
糖尿病から動脈硬化症へ進むと、冠動脈疾患といった心臓病や脳卒中などの脳血管障害、そして足に障害が起こってきます。
足は心臓から距離が離れているので、動脈硬化症の影響が出やすい部位です。
動脈硬化が全身で進んでいくと、太ももや骨盤のあたりで血管が詰まり、足先の血流が悪くなります。
心臓に近い手の場合は、詰まるほどの動脈硬化はなかなか起こりませんし、もし起こったとしても、さほど問題になるような症状まで至らないのが常です。
しかし心臓から離れている足が動脈硬化になると、血管が3本に枝分かれする前の部分で詰まってしまい、足全体に血液が行きわたらなくなり、障害が現れるのです。最悪の場合は下枝切断ということになってしまいます。
糖尿病が 癌のリスクを高める理由は?
高血糖はまた、ガンのリスクを高めます。大腸ガンや肝臓ガン、すい臓ガンは、普通の人と比べて、
糖尿病の人の発症率が1.8~1.9倍も高くなります。
それ以外にも、子宮体ガンや乳ガンのリスクも高まります。
ガン細胞というのはブドウ糖だけをエネルギー源にします。
そのために高血糖状態の体ではエネルギー源を取り込みやすく、増殖しやすいからと考えられます。
ですから、がんを予防し健康寿命を延ばすためには、まず糖尿病を改善しておく必要があるのです。