今回のテーマは、糖尿病患者の心の叫び、「糖尿病でも美味しい食事がしたい!」
でも、その前に立ちはだかる問題があります。
そこでここでは、糖尿病の食事療法のデメリットについてフォーカスしてみました。
これらの問題を改善し、糖尿病であっても
「美味しく楽しく」食べられる食事のコツを考えることが重要です。
目 次
糖尿病と食事療法の関係は?
「糖尿病」と「食事療法」は切っても切れない関係にあります。
その理由は、糖尿病改善のために血糖値を正常に保つことが欠かせないからです。
しかし、忘れないでいただきたいことがあります!
それは、「食事療法」を行っているからといって「食事の楽しみ」
までなくなってしまうというわけではないことです。
むしろ、食事に 気をつけているからこそ、以前にもまして「美味しく」「楽しい」
食事をしている方は少なくないのです。
そこで、次に糖尿病患者さんが、気をつけている食事の問題について見てみましょう。
糖尿病の人の食事: 量の問題は?
われわれが、知っているようで知らないのが自分以外の糖尿病患者さんの食事。
「ほかの人は、どのくらい糖質制限をし ているんだろうか」「コーヒーには砂糖を入れないんだろうか」など……。
気になる事情を統計から見てみましょう。
政府推進プロジェクト「健康日本21推進フォーラム」が実施した 調査によれば、患者や予備軍、その家族800名以上のうち、食事療法の経験者は94%に上ったそうです。
「食事療法にストレスを感じているか」の質問には、77%がストレスを感じているとのことでした。
食べたい量を食べられないというストレス
一方、食事療法がつらい理由として一番多かったのが「食べたい量を食べられない」(65%)ということでした。
「食べちゃいけない」と思うほど食べたくなるのは当然のことです。
病気を気にせずに済むなら食べたい料理として挙げられたのは、
男性では「焼き肉」、「ステーキ」、「天ぷら」、
女性では「ケーキ」、「天ぷら」、「焼き肉」の順番でした。
ケーキ以外はいずれもボリュームたっぷりのこってりメニューですね。
量を気にせず腹いっぱい食べられないことに対してストレスを感じている人が多いようです。
「食事のたびに量を計測」が実に厄介
ほかにも、「食事を作るたびに毎回グラムを図らなくてはいけない、必要なのはわかるが続けていけない」といった声も聞かれました。
この「食事のたびに量を計測」というのも実に厄介です。
糖尿病の食事療法として用いられるもっともポピュラーなのが、皆さん ご存知の「食品交換表」です。
糖尿病が発覚した際に栄養士さんや看護師さんから指導を受けたという方も多いでしょう。
この食事療法の基本は、食べる種類にはあまり制限を設けず、代わりに食べる量に制限を設けるというものです。
具体的には、1単位を「80キロカロリー」として考えるやり方です。
例えば一日の 摂取カロリーを1200kcalと設定した場合、一日15単位の食事を食べることになります。
1単位の例としては、おにぎりであれば45g、さつまいも60g、さんま26g、牛乳119g、あんぱん29g、かぼちゃ88g、きゃべつ400g…… 等です。
単位内であれば、基本的にどんなものでも食べることができますが、例えば、きゃべつを一日に400gも食べることがあるでしょうか?
食品ごとに1単位の量が定められていはいますが、その分量を 過不足なく食べることはほぼ不可能であるため、きちんとルールを守ろうとすればするほど食事の度に複雑な計算に頭を悩めなくてはいけなくなってしまうのです。
糖尿病の人の食事: 糖質の問題は
量以外にも問題があります。それが「糖質」です。
砂糖のみならず、白米や小麦といった炭水化物は糖質そのものであるため、タンパク質や脂質よりも厳しい制限の対象になります。
糖尿病患者300人を対象にしたあるアンケートによれば、糖質を制 限している食事を「現在行っている」と答えた人が53%、
「興味 はあるが行ったことはない」が22%、「以前行っていたが、現在 は行っていない」が13%となっており、
約7割の患者が糖質制限の経験ありという結果になっています。
糖質の最たる食材が「ご飯」です。白米をはじめとする主食は糖質そのもの。ご飯一食分170gのうち130gが糖質です。これは角砂糖14個分に相当します。
では白米以外の主食はどうかというと、小麦も同様で、うどん一玉あたり角砂糖14個分、食パン1枚は角砂糖8個分に相当します。
このように、食品に含まれる糖質を角砂糖の量に変換して表す方法を「カーボカウント」といいます。カーボというのは炭水化物のことをさしています。
ちなみに、ショートケーキ1切れがカーボカウントで8個分、シュークリーム一個が3個分、大福もち一個 が3個分ですから、
砂糖をたっぷりつかったデザートと比較しても、ご飯やうどんといった主食にはたっぷりと糖質が含まれているこ とが分かりますね。
いまでこそ洋食や中華料理等が普及してきましたが、それでも、日本人の主食である白米は、どんな素材にもあい、また副菜の味を邪魔しないため、毎食のように食べられています。
その頻度は高く、「食事=白米」と言ってもいいほどです。それゆえ、これを制限することはかなりのストレスを伴います。
糖尿病患者における糖質の制限量は明確な定義がなされていませんが、例を挙げると「一日の糖質摂取量が100から150g」「総摂取カロリーの占める割合の内40%」等があります。
前者でいえば 一日の内、ごはん1杯強の糖質しか取れないことになります。
これではストレスになって当然です。
実際の患者さんからは、「白米を控えると食事をした気にならない」という声や、「肉や魚に合わせて白米をしっかり食べられないのがストレス」等の声があがっています。
まとめ
・その理由が、「食事量の制限」と「糖質の制限」
・たくさん食べられないことにストレスを感じる人が多い
・主食を始めとする糖質の制限にストレスを感じる人が多い
・複雑な計算が面倒であるという声もある