「脂質異常症」とは血液中の脂質のバランスに異常が生じる疾患で、放っておくと動脈硬化が進行して心筋梗塞や脳卒中を引き起こすことになります。
国内の患者数は増加の一途にあり、とくに50代以降の女性では約2人に1人が脂質異常の状態にあると言われています。
一方で、自覚症状がほとんどないことからそのまま放置している人も少なくありません。
ここでは、そんな「脂質異常症」について色々ご紹介します。
目 次
脂質異常症の診断基準は?
血液中の3種類の脂質が血管に影響します。それぞれの診断基準は以下のとおりです。
HDLの診断基準
・コレステロールを含むリボたんばく。
・血管壁のコレステロールを取り除く。
・動脈硬化を防ぐため「善玉」と呼ばれる
LDLの診断基準
・コレステロールを多く含むリボたんばく。
・多過ぎるとLDL内の コレステロールが血管壁にたまる。
・動脈硬化を促すため「悪玉」と呼ばれる。
中性脂肪の診断基準
・カイロミクロンやVLDLというリボたんばくに乗って移動。
・多過ぎるとLDLを増やし、HDLを 減らす。
・悪玉コレステロールに加担する脂質。
脂質異常症と動脈硬化の関係は?
脂質異常症は動脈硬化の危険信号とは
私たちの血液の中には
中性脂肪、コレステロール、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類の脂質
が溶け込んでいます。
これらをまとめて「血中脂質」と言います。
通常、血中脂質は一定の量に保たれるよう調節されています。
しかし、体の中で脂質がうまく処理されなくなったり、食事から摂る脂質が多過ぎたりすると、血液中の中性脂肪やコレステロールのバランスが崩れ、血管の壁にコレステロールがたまって
内腔(ないこう)が狭くなってしまいます。
これが「脂質異常症」です。
脂質異常症は動脈硬化のリスクを高める
脂質異常症を放置すると、動脈硬化が進行して、狭心症や心筋梗塞、脳卒中など命に関わる病気を発症するリスクが高まります。
しかも、脂質異常症には自覚症状がほとんどないため、ある日突然、発作におそわれるケースも少なくないのです。
脂質のうち中性脂肪とコレステロールは”悪者”?
脂質異常症の原因となる中性脂肪とコレステロール。どちらも〝体に悪いもの″ と思われがちですが、
本来は体の機能を保つために欠かせない重要な物質です。
中性脂肪は悪者”ではない?
中性脂肪は活動のエネルギー源となるもので、皮下脂肪や内臓脂肪などの脂肪細胞に蓄えられます。
そして、激しい運動などによって体内のエネルギーが足りなくなると、貯蔵されていた中性脂肪がエネルギー源として消費
されます。
このほか、皮下脂肪とて体温を保持したり、衝撃から体を守るクッションの役目も果たしています。
コレステロールも悪者”ではない?
コレステロールは細胞を包む細胞膜を構成する成分です。
また、脂肪の消化・吸収を助ける胆汁酸の材料ともなりますし、副腎皮質ホルモンや性ホルモンの材料
にもコレステロールが使われています。