糖尿病とは血糖値を下げるホルモンであるインスリンを分泌するすい臓の働きが低下することで起こる病気です。
ここでは、まず糖尿病の自覚症状について確認した上で、従来から恐れられていた糖尿病の三大合併症の他、警戒すべき新しい五つの合併症についてご紹介します。
糖尿病の自覚症状とは?
初期では自覚症状なし?
すい臓が壊れても、血糖値が高い状態が続いても、私たちはどこにも、何の痛みも感じません。
糖尿病を発症しても、自覚症状はまったくないのです。
だからといって放置しておくと、ジワジワと私たちの体を蝕みます。
どこを蝕むかといえば、血管、なかでも細い動脈(細動脈)が最初にダメージを受け、十分な酸素と栄養が神辟細胞に運ばれなくなります。
すると3~5年で神経が鈍ってきます。神経障害の初期症状です。
それでも、まだ自覚症状はほとんどありません。
なかには痛みやしびれを感じはじめる人も出てきますが、それが糖尿病によるものだとはなかなか考えないものです。
糖尿病の 三大合併症 しめじとは?
糖尿病は、こうしてジリジワと着実に細動脈を蝕み、5年、10年、15年と経過したのちに、突然ひどい合併症を引き起こします。
足の動脈で傷害が起これば壊症につながり、目の細動脈なら網膜症や失明、腎臓の細動脈であれば腎症を引き起こします。
自覚症状や前ぶれがほとんどないということは、たとえば網膜症なら、目が少しずつ霞んできてだんだん視野が狭くなるのではありません。
ある日突然、墨をかけられたように目の前が真つ黒になります。
壊疽や腎症も気づいたときには手遅れで、足の切断や透析なしには生きていけなくなります。
ですから、これらの神経障宮、網膜症、腎症が糖尿病の三大合併症といわれて、長らく恐れられてきたのです。
これは「しめじ」と覚えましょう。 「 し」→「め」→「じ」の順番で合併症が起きてきます。
警戒すべき糖尿病の新しい五大合併症とは?
人間の体で、細動脈がたくさん集まる場所が、神経や目、腎臓です。
また糖尿病の方が冒される血管はほかにもあります。
それは脳と心臓です。
脳の血管が蝕まれ、詰まったり破裂したりすれば、脳卒中と呼ばれる脳梗塞や脳出血といった脳血管疾患を引き起こします。
心臓の血骨が蝕まれ、詰まったり破裂したりすれば、狭心症や心筋梗塞といった心疾患を引き起こすことになります。
さらに、血管は体中を通っていますから、あらゆる部位のがんになるリスクが高まります。
ほかに肺炎やアルツハイマー病の発症率も、糖尿病患者のほうが、そうでない人よりも非常に高いことがわかっています。
ですから、がん、心臓病、脳卒中、肺炎、アルツハイマー病も、新しい糖尿病の五大合併症として警戒すべきなのです。