わが国には「糖尿病が強く疑われる人」が740万人、「糖尿病の可能性が否定できない人」が880万人もいます。
合わせると1620万人で、成人の6.3人に1人ということになります。
にもかかわらず、放置している方が多いそうです。
ここでは、糖尿病がどんな病気か?糖尿病になると、なぜ血糖値が上がるのか?治療や予防の方法・・など、まず基本的な事項を取り上げました。
糖尿病ってどんな病気?生活習慣病?
糖尿病は、字をそのまま読むと尿に糖が出る病気というふうに読めますが、それは病気の正体を正しく示していません。
糖尿病とは、血糖値が慢性的に上昇している状態を言います。
糖尿病は、初期のころは特に「ここがイタイ」などの特徴的な症状がありませんので、健康診断などで、「糖尿病の可能性あり」と言われても、つい放置をしてしまいがちです。
これが糖尿病の一番怖いところで、放っておくとあとあと尿毒症、失明、壊症、心筋梗塞、脳梗塞などの「合併症」を引き起こし、大変な事態を招きます。
まず、どうして糖尿病になるのか、放っておくとなぜ大変なのかを正しく理解することが重要です。
糖尿病には大きく分けて、1型と2型かあります。
生活習慣病としての糖尿病は2型で、糖尿病の95%がこちらに分類されます。
この記事で、「糖尿病」というのは2型のことを指しており、2型の人への改善提案になります。
糖尿病になると、なぜ血糖値が上がる?
ヒトを含む、すべての動物は血液中の栄養素をエネルギーに変えて燃焼させながら生きています。
その栄養素の中で最も重要なのがブドウ糖ですが、これはタンパク質や脂肪と違い、すぐに燃やすことができて、燃えかすを残さないクリーンなエネルギー源です。
この血液中のブドウ糖 (英語ではグルコース) を「血糖」と呼びます。
健康な状態では、「血糖値」(血液中に血糖が占める量、血液検査で分かります。) はどんなにお腹が減ってもたらふく食べても、だいたい80~120ミリグラム/デシリットルの間で調節されています。
糖代謝のしくみ
食事でとった栄養素 (炭水化物) は小腸で消化され、その後ブドウ糖に分解されます。
このブドウ糖は小腸から体内に吸収されて、血液の流れにそって全身にまわり、筋肉細胞などに取り込まれてエネルギーとして燃焼します。
このとき、使われなかった余分なブドウ糖は肝臓や脂肪の組織に運ばれ、そこで貯蔵されます。
この糖の流れを調節しているのが、糖尿病の原因や、予防、治療にとって重要となる「インスリン」いうホルモンです。
インスリンは、血糖が上昇すると、すい臓のランゲルハンス氏鳥 (ホルモンを分泌する細胞のかたまり)と言う場所から分泌され、血液中のブドウ糖を細胞の中へ取り込もうとします。
しかしながら、インスリンの働きが不足するとブドウ糖が細胞内に取り込まれず、血液中にあふれてしまいます。
これがつまり、血糖が上昇する糖尿病の状態です。
つまり、糖尿病になると高血糖になる原因は「インスリンの働きの不足」なのです。
糖尿病を治療や予防する方法は?
2型糖尿病の多くは、遺伝子などの関与で、もともとインスリン分泌力の弱い体質の人が、食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足などによる内臓脂肪蓄積が原因で、血糖値が徐々に上がっていって発症します。40歳以上に多く見られます。
すい臓からインスリンは出ているのですが、その量や働きが.不十分なのが2型糖尿病です。
2型糖尿病の治療の第1は食事療法、第2は運動療法、それでもだめなら飲み薬や注射での薬事療法って言われます。
ここでは、第1の食事療法について、詳しく説明します。
実は、大別すると「カロリー制限食」と「糖質制限食」の二種類の食事療法があります。
まず、日本糖尿病学会や、多くの病院や管理栄養士さんがすすめるカロリー制限食について。
高血糖や肥満の原因はカロリーの過剰摂取であり、カロリーの摂取を制限すべきとするものです。
・食後の血糖値を下げるため適度な運動が必要。
・高血糖や肥満の主原因はカロリーの大きな脂質であるとし脂質を目の敵とする。
・糖質制限はエビデンス(証拠)が不足、特に長期間にわたり採用する場合に安全上の懸念を示し正式には認めていない。
・肥満の主原因は高糖質食にあり、肥満ホルモンでもあるインスリンの働きによる。
・カロリー制限食は高糖質食であり、糖尿病は良くならないと否定する。
・糖質の許容摂取量(制限の程度)には論者により、いろいろある、従って、糖質制限食といってもその程度により複数の種類がある。
なお、米国糖尿病学会も以前はカロリー制限を推奨していたが、現在では、糖質制限を有効な選択肢の一つとして推奨しています。
これまで、専門家の間でも真逆の見解が飛び回り、両者の優劣が議論されてきました。
糖尿病で悩んでいる人にとってどれが正しいか 患者は本当に悩みますね。
最近は、我が国でも後者の「糖質制限」が普及しつつあるようです。
まとめ
●糖尿病は放置しておくとあとあと尿毒症、失明、壊症、心筋梗塞、脳梗塞などの「合併症」を引き起こす怖い病気。
●すい臓からインスリンは出ているが、その量や働きが.不十分なのが2型糖尿病で、糖尿病の95%がこれ
●2型糖尿病の治療の第1は食事療法、第2は運動療法、それでもだめなら飲み薬や注射での薬事療法
●食事療法には「カロリー制限食」と「糖質制限食」の二種類があるが、近年後者が脚光を浴びて普及しつつある。